【新制度「育成就労」/2027年4月施行】
これまでの「技能実習制度」に代わり、新たな外国人材受入れの枠組みとして「育成就労制度」が導入されることになりました。
「名前は聞いたことがあるけれど、具体的に何が変わるの?」
「企業としてどんな準備が必要?」
今回は、そんな疑問をお持ちの経営者・人事担当者様に向けて重要ポイントを厳選して解説します。
1. なぜ制度が変わるのか?(導入の背景)
これまでの技能実習制度は、建前として「国際貢献・人材育成」を目的としていましたが、実態は労働力不足を補う手段となっている側面がありました。新制度 育成就労では、目的を「人材育成」と「人材確保」に明確化。
「未熟練の外国人を3年間で育て上げ、専門的な特定技能1号へつなげる」という、キャリアパスがはっきりした制度に生まれ変わります。
2. ここが変わる!新制度「3つの重要ポイント」
育成就労制度には、技能実習時代とは異なる大きな変更点が3つあります。
① 対象職種の限定(特定技能との連動)
新制度では、原則として「特定技能制度」に移行できる分野に限定されます。施行タイミングで育成就労産業分野は17分野、特定産業分野は現在16分野から19分野へ拡大予定です。
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主な対象分野: 介護、建設、農業、鉄道、林業、木材産業など
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追加予定の分野: リネンサプライ、物流倉庫、資源循環など
② 日本語能力と技能のステップアップ
「なんとなく仕事ができる」ではなく、明確な能力評価が導入されます。
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就労開始前: 原則として日本語能力「A1」相当(または講習受講)
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1年経過時: 技能検定基礎級などの合格 + 日本語能力「A2.1」レベルの学習
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3年終了時(ゴール): 技能検定3級などの合格 + 日本語能力「A2.2」以上
3年終了時にこれらをクリアすることで、「特定技能1号」へと進むことができます。
③ 「転籍(転職)」が可能に
これが最大の変化です。これまでは原則禁止でしたが、新制度では「本人意向による転籍」が一定の条件付きで認められます。
- 転籍の主な条件
- 同一の職場で1年〜2年の範囲内で定められた期間を超えて働いていること
- 技能検定や日本語試験に合格していること
- 転籍先が適正な受入れ企業であること
※人権侵害や法令違反などの「やむを得ない事情」がある場合は、期間に関わらず転籍が可能です。企業側には、より選ばれる職場環境づくりが求められます。
3. 受入れ企業(育成就労実施者)の責務
企業が採用を行うには、外国人一人ひとりについて「育成就労計画」を作成し、認定を受ける必要があります。
計画認定の基準
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待遇: 日本人と同等以上の報酬であること。
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期間: 原則3年(3年未満や試用期間の設定は不可)。
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体制: 育成就労責任者、指導員、生活相談員の選任。
注意!「非自発的離職」に関する制限
過去1年以内に、自社都合(解雇や退職勧奨)で同種業務の労働者を離職させている場合、その後1年間は育成就労外国人を受け入れることができません。「安価な労働力として入れ替える」といった運用はできない仕組みです。
4. サポート体制の厳格化
企業を支える関係機関についても、適正化が進められます。
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監理支援機関: 従来の「監理団体」から名称変更。外部監査人の設置が義務付けられるなど、チェック機能が強化されます。
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送り出し機関: 手数料の透明化が徹底されます。外国人が支払う手数料に「給与2ヶ月分まで」といった上限が設けられる予定です。
5. 今後のスケジュール
新制度は2027年4月からの施行が予定されています。
現在は移行に向けた準備期間ですが、外国人の受入れには面接から入国まで8ヶ月程度かかることも珍しくありません。2026年夏頃には、「現行制度で進めるか、新制度で入国するか」の戦略的な判断が必要になるでしょう。
育成就労制度は、外国人を単なる労働力ではなく、「育てて、共に働くパートナー」として位置づけるものです。
書類作成や育成計画など、企業側の負担は決して軽くはありませんが、意欲ある人材を長期的に確保し社内の活性化につなげる大きなチャンスでもあります。
当事務所では、新制度に対応した申請サポートやアドバイスを行っております。「自社は受入れ可能か?」「何から準備すればいいか?」など、少しでも不安がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。

