【育成就労制度 外部監査人】

育成就労制度で必須となる「外部監査人」とは?2026年申請開始に向けた実務の要諦

技能実習制度から「育成就労制度」への移行において、監理支援機関(旧:監理団体)にとって最も大きな変更点の一つが外部監査人の設置義務化です。

単なる名称変更ではなく、制度の透明性を担保するための抜本的な見直しが行われています。本記事では、外部監査人の役割、専門性、そして2026年4月の申請開始に向けたロードマップを詳しく解説します。


1. 「外部監査人」の必置化:技能実習制度からの大きな転換

これまでの技能実習制度では、内部役員が監査を代行する「外部役員」の設置も認められていました。しかし、新制度では独立した第三者による「外部監査人」の設置が、許可を得るための不可欠な要件(必置要件)となります。

なぜ「外部」が義務化されたのか?

最大の目的は、監理支援機関と受入れ機関(企業)の間の「不適切な癒着」を断ち切ることにあります。

  • 独立性の確保: 監理支援機関の役職員や、特定の受入れ企業と密接な利害関係にある者は選任できません。
  • 客観性の担保: 忖度を排除し、事実に基づいた客観的な評価が行われる環境を整備します。

2. 外部監査人に求められる高度な専門性と資質

外部監査人は、単に外部の人であれば良いわけではありません。制度の法的枠組みを理解し、実務の不備を見抜くスキルが求められます。

外部監査人の主な要件

項目内容
専門資格行政書士、弁護士、社会保険労務士の有資格者など
養成講習3年ごとに指定の講習を受講修了
実務能力労働法規の遵守状況や、支援計画の履行状況を多角的に検証できる能力

[Point] 行政書士を起用するメリット

入管法や行政手続法に精通した行政書士は、許可申請段階から関与することで制度の趣旨に沿った堅実な運営体制を共に構築できるパートナーとなります。


3. 具体的実務:外部監査人は何をチェックするのか?

外部監査人の業務は、3か月に1回以上の定期監査と、年1回以上の同行監査(現場確認)で構成されます。

① 定期監査(3か月に1回以上)

監理支援機関の事務所を訪れ、以下の項目を精査します。

  • 書類閲覧: 監理費の徴収記録、面談記録、支援実施記録などの整合性。
  • 体制確認: 個人情報の管理体制や面談スペースが適切に確保されているか。

② 受入れ機関への同行監査(年1回以上)

実際に受入れ企業を訪問し、現場の実態を確認します。

  • 対面インタビュー: 外国人本人から賃金支払や生活環境を直接聞き取り、人権侵害(通帳の預かり等)がないかチェック。
  • 指導の適切性: 監理支援機関が、企業に対して適切な是正指導を行っているかを確認。

4. 2026年4月の許可申請に向けたロードマップ

育成就労制度の本格施行は2027年4月ですが、監理支援機関としての活動を希望する場合、2026年4月に許可申請受付開始になります。

今後の重要なスケジュール

  • 2025年内: 財務基盤の整備(債務超過の解消など)
  • 2026年1月〜: 外部監査人の選定・契約合意、人的要件の確保
  • 2026年4月: 監理支援機関の許可申請受付開始
  • 2027年4月: 育成就労制度の本格施行

5. 行政書士を外部監査人に選任する意義

外部監査人の選定を単なるコストと捉えるのはリスクです。行政書士に依頼することで以下のようなメリットが得られます。

  • 高度な法的判断: 「転籍」への対応など、複雑な利害調整が必要な場面で強力な盾となります。
  • DX支援とガバナンス: 電子申請やクラウド型書類管理のアドバイスを通じ、業務の効率化を支援します。
  • 優良な機関としての評価: 質の高い監査実績は、許可期間の延長(最長5年)などの優遇措置を受けるための重要な評価指標となります。

    

2026年4月の申請開始に向け、今から着実な準備が必要です。外部監査人の選定は、組織の透明性を証明し外国人材と受入れ企業の双方に安心を提供するための「パートナー選び」に他なりません。

制度の自浄作用を保ち、選ばれる監理支援機関となるために、ぜひ早期の専門家への相談をおすすめいたします。