【育成就労制度 転籍要件緩和】
「辞められない」から「選ばれる」へ
技能実習制度に代わって創設される新制度「育成就労制度」。
この制度変更の中で、企業と監理支援機関にとって最もインパクトが大きいのが、転籍(転職)要件の大幅な緩和です。
これまで技能実習生は、やむを得ない事情がなければ職場を変えることができませんでした。
しかし新制度では、一定期間(原則1~2年)を経過すれば、要件を満たすことで本人の意思による転籍が可能になります。
これは受入れ側にとって、何を意味するのでしょうか。
答えはシンプルです。
魅力のない監理支援機関・企業からは、人材が“合法的に”流出する時代になる
新制度下で外国人材に選ばれために求められるのは、「ここで働き続けたい」と思ってもらうための支援(リテンション)が必要です。
もしあなたの団体が
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書類作成が中心
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監査のときだけ顔を出す
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実習生との関係が希薄
このような状態であれば、実習生はより条件が良く、より親身な支援をしてくれる機関へと移っていくでしょう。
1. 送出機関との「健全で透明な関係づくり」
転職を考える理由として賃金条件が大きいことは事実ですが、
それと並んで、入国前にかかる費用負担も定着に影響する要素の一つとされています。
入国前費用の負担が大きい場合、実習生が「できるだけ早く収入を増やしたい」と考え、より条件の良い職場を探そうとするケースも見受けられます。
この点について、現行技能実習制度でも以下の行為は明確に禁止されています。
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キックバックの受領
(監理費以外の金銭を送出機関等から受け取る行為) -
違約金に関する契約
(失踪等を理由に送出機関へ違約金を課す内容を含む契約)
これらは法令上すでに厳しく制限されており、
新制度においては、より一層「透明性の高い運営」が重視される方向に進むと考えられます。
送出機関との費用関係が明確で、手数料の仕組みをきちんと説明できる体制を整えていることは、実習生本人だけでなく受入れ企業からの信頼確保にもつながります。
結果として、透明性の高さそのものが、選ばれる理由の一つになっていくでしょう。
2.「相談体制」は“形だけ”では意味がない
実習生が辞めたいと決断する前に、本音を聞き出し問題を解決できるかどうか。これこそが、定着支援の質を左右します。オフィス要件も単なる形式ではありません。
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プライバシーに配慮した面談スペース
(外部から覗かれず、安心して話せる環境) -
常勤の監理責任者の配置
(名義貸しではなく、社会保険等で常勤性が証明できる人材)
転籍が可能になったときに実習生が「まずは、うちの支援機関に相談しよう」と思えるかどうか。
ここに、日頃の信頼関係構築ができているかどうか、団体としての真価が表れます。
3.安定した財務基盤は、最大の安心材料
会社の安定・継続性は日本人社員と同じく、外国人材にとっても離職の引き金になります。
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直近2期分の決算書提出
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債務超過の場合は原則不許可
という厳しい許可基準が設けられています。
新制度では、日本語教育やキャリア支援など、
監理支援機関側の先行投資や持ち出しコストが増える可能性も高いでしょう。
ギリギリの経営状態では、質の高い支援は実現できません。
財務の健全性そのものが、信頼と選ばれる理由になる時代です。
コンプライアンスこそ、最強の生存戦略
転籍解禁は、恐れるべきものではありません。
これまでは制度の縛りで人材を囲い込む時代でしたが、
これからは組織の魅力と信頼で選ばれる、健全な競争の時代になります。
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費用の適正と透明性
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実習生のプライバシーを守る
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常勤のプロフェッショナルを配置する
こうした当たり前を、当たり前に徹底している団体にとっては、新制度はむしろ大きな追い風です。
選ばれる監理支援機関・企業になるための体制整備や、育成就労制度を見据えた運用の見直しについては、ぜひ国際業務専門の行政書士にご相談ください。
