【特定技能受入れガイド 第4回「雇用契約前に確認すべき適性審査」】

はじめに

採用面接が終わり「この人を採用しよう」と決めた後に、雇用契約書に判を押す前にやるべき重要な作業があります。それが受入れ機関(自社)と外国人材の双方についての適性確認です。この確認を怠ると、書類を揃えて申請しても不許可になる、あるいは許可後に取消しになるリスクがあります。

この回では、雇用契約締結前に必ず押さえておくべきチェックポイントを、会社側・外国人側の両面から整理します。

   


❶ 会社側(受入れ機関)の要件確認

特定技能外国人を雇用できる会社には、法律に定められた要件があります。次の項目に1つでも該当する場合、受入れ機関としての資格を失います。

① 過去5年以内の法令違反がないこと 出入国・労働関係の法令(入管法・労働基準法・最低賃金法・労働安全衛生法等)に違反して罰則を受けたことがある場合、受入れができません。社内でパワハラや賃金未払いなどの問題が発生していないかも確認が必要です。

② 直近1年以内に行方不明者を発生させていないこと 受入れ機関の責任による行方不明者(技能実習生や特定技能外国人など)を過去1年以内に発生させた場合は受入れ不可となります。

③ 税金・社会保険料の滞納がないこと 国税(法人税・消費税等)・法人住民税・労働保険料・社会保険料のいずれかでも滞納がある場合は受入れができません。申請の際には各種納付証明書の提出が求められます。

④ 保証金・違約金を外国人に課していないこと 外国人材やその家族から、来日・就労・帰国にあたって保証金・違約金・手数料等を徴収することは厳禁です。送り出し機関が外国人側から高額費用を徴収していないかも確認義務があります。

⑤ 支援体制が整っていること 自社で支援を行う場合は、支援責任者・支援担当者(事業所ごとに1名以上)を選任し、一定の要件(過去2年以内に外国人の生活相談等に従事した経験を有する者など)を満たす必要があります。登録支援機関に全部委託する場合はこの要件を満たしたとみなされます。

    


❷ 外国人材側の要件確認

次に、採用しようとしている外国人本人に関して、契約前に確認すべき事項を整理します。

① 技能試験・日本語試験の合格証明の確認 特定技能1号では、各分野の技能評価試験(または技能検定3級相当)と、日本語能力試験(原則N4相当以上)の合格が必要です。合格証明書の原本または入管庁の試験結果確認システムで確認しましょう。技能実習2号を良好に修了した方は試験免除ですが、「良好修了」の証明(技能実習評価試験合格等)を書面で確認することが重要です。

② 在留状況と通算在留期間の確認 現在の在留カードを必ず目視確認し、在留資格の種類・在留期限・就労制限の有無を確認します。特定技能1号は原則通算5年が上限のため(2025年9月30日改正により一定条件で最長6年まで延長可)、残りの在留可能期間を計算したうえで雇用期間を設定する必要があります。

③ 退職予定・他社との雇用関係の確認 現在の職場を正式に退職しているか、または退職予定日が明確かを確認します。在留資格の変更申請は在留期限3か月前から可能ですが、現職の雇用契約が継続中の場合は提出書類の調整が必要なケースがあります。

④ 健康診断の実施 就労開始前に健康診断を実施が必要です。(費用は受入れ機関が負担。目安:1人あたり1万円前後)。ビザ申請時に健康診断書の提出を求められることと、健康状態は支援計画の作成にも関係するため、早めに実施しましょう。

        


❸ 確認のタイミングと記録の重要性

上記の確認はすべて、雇用契約書に署名する前に完了させることが原則です。契約締結後に要件不備が発覚した場合、在留資格申請の不許可・やり直しとなるだけでなく、外国人材に対して不誠実な対応となってしまいます。

また、確認した事実はすべて書面で記録・保管しておくことが重要です。「特定技能外国人の活動内容に係る文書は雇用契約終了日から1年以上保管すること」が法律で定められており、監査や届出の際にも参照することになります。

受入れ機関側の欠格事由の判断や外国人材の在留資格状況の確認については、個別の事情により判断が異なるケースも多くあります。判断が難しいと感じた場合は行政書士などの専門家にご相談ください。

       


この回のまとめ

  • 受入れ機関(会社側)は法令違反歴・滞納・行方不明者発生・保証金徴収など複数の欠格事由に該当しないことを事前に確認する必要がある
  • 外国人材側は試験合格証明・在留カードの状況・通算在留可能期間を書面で確認し、雇用期間の設計に反映させること
  • 確認した内容はすべて書面で記録・保管する義務がある(保管期間:雇用契約終了日から1年以上)

   

次回予告

第5回「雇用契約書・支援計画書の作成ポイント」

適性確認が終わったら、いよいよ具体的な書類作成に入ります。次回は特定技能特有の記載事項や、支援計画書のポイントをわかりやすく解説します。