【特定技能受入れガイド 第7回「登録支援機関の選び方・委託のポイント」】

はじめに

在留資格の申請が無事に終わったら、次に重要なのが受入れ後の「支援」をどう運営するかという問題です。特定技能1号外国人を雇用する会社には、法律で定められた10項目の支援を継続して実施する義務があります。この支援を自社でやるのか、専門の機関に任せるのか——この判断が、外国人材の定着率や会社の負担に直結します。この回では、登録支援機関の役割・委託すべきかどうかの判断基準・失敗しない選び方のポイントをわかりやすく整理します。


❶ 登録支援機関とは何か

登録支援機関とは、出入国在留管理庁長官の登録を受けた機関で、受入れ企業(特定技能所属機関)から委託を受けて、特定技能1号外国人への支援業務を代わりに実施する専門機関です。

行政書士事務所・社会保険労務士事務所・人材紹介会社・NPO法人など、さまざまな形態の事業者が参入しており、2026年3月時点で全国に約1.1万機関以上が登録されています。

大切な点として、登録支援機関と外国人材の間に雇用契約はありません。外国人材を雇用しているのはあくまでも受入れ企業であり、登録支援機関はその企業から「支援業務の代行」を委託される立場です。

また、登録支援機関に委託できるのは支援業務のみです。在留資格の申請手続き(入管への申請取次)は登録支援機関の業務範囲外であり、行政書士や弁護士が担当します。この点を混同している担当者が多いので注意が必要です。


❷ 「自社支援」か「委託」か ── 判断の分かれ目

委託が「義務」になる場合

次の条件をどちらも満たせない企業は、すべての支援を登録支援機関に委託しなければなりません。

  • 過去2年以内に外国人労働者(就労系在留資格)を受け入れた実績がある
  • 支援責任者・支援担当者に、過去2年以内に外国人労働者の生活相談業務に従事した経験がある

中小企業が**初めて特定技能外国人を受け入れる場合は、ほぼ必ず「委託義務あり」**に該当します。逆にいえば、初めての受入れで「自社支援にしたい」と考えても、制度上できないケースがほとんどです。

委託を「選べる」場合

上記の条件を両方満たせる場合は、自社支援と登録支援機関への委託を選択できます。自社支援のメリットはコスト削減と社内ノウハウの蓄積ですが、担当者の業務負担が大きく、継続的な対応が必要な点はデメリットです。

いずれの場合も、判断に迷うときは行政書士などの専門家にご相談ください。


❸ 登録支援機関に委託するメリット

① 受入れ企業の負担が大幅に減る

支援業務は空港への送迎・住居探し・役所への同行・定期面談・日本語学習支援など多岐にわたります。これを自社だけでこなすのは、特に人手が限られている中小企業では現実的ではありません。専門機関に委託することで、担当者は本来の業務に集中できます。

② 第三者が介在することで外国人材が相談しやすくなる

職場の悩みや生活上の不安を、雇用主である会社に直接言い出しにくいと感じる外国人材は少なくありません。登録支援機関という第三者の存在があることで、本人が悩みを相談しやすくなり、トラブルの早期発見・早期解決につながります。これは定着率の向上にも直結します。

③ 支援の「やり忘れ」「抜け漏れ」を防げる

忙しい業務の合間に自社だけで管理していると、「定期面談をうっかり飛ばしてしまった」「日本語学習のサポートが後回しになっていた」といった抜け漏れが起きやすくなります。

支援が十分に行われていないと判断された場合、出入国在留管理庁から行政指導を受けたり、最悪の場合は特定技能外国人を雇用する資格そのものを失うことにもなりかねません。登録支援機関に委託することで、支援スケジュールの管理・実施・記録までを専門家に任せることができ、こうしたリスクを大幅に減らすことができます。

委託料の目安

登録支援機関への委託料は、1名あたり月額2〜4万円程度が相場です。初期費用(契約時の事務手数料)が別途かかる機関もあります。契約前に月額以外の費用もすべて確認しましょう。


❹ 失敗しない登録支援機関の選び方

全国に約1.1万機関が登録されていますが、実際に支援業務を行っている機関は約2割程度ともいわれています。登録しているだけで実績がない機関も多く存在するため、慎重に選ぶ必要があります。以下の6つのポイントで絞り込みましょう。

① 自社の分野・国籍の支援実績があるか

外食業・製造業・介護など、分野によって支援の内容や注意点が異なります。また、採用する外国人材の国籍(ベトナム・インドネシア・フィリピン等)に対応した経験があるかも重要です。実績件数を具体的に確認しましょう。

② 対応言語が自社のニーズに合っているか

外国人材の母国語で日常的にコミュニケーションが取れる体制があるかを確認します。「対応可能」と書いてあっても外部の翻訳者に頼っているだけのケースもあります。専属または在籍スタッフが対応できるかまで確認するのが理想です。

③ ビザ申請の取次まで対応できる体制があるか

登録支援機関の業務にビザ申請取次は含まれませんが、行政書士と連携している機関や、行政書士が在籍している機関を選ぶと、支援業務とビザ申請業務をワンストップで依頼でき、手続きがスムーズになります。

④ 費用の内訳が明確か

月額費用のほかに、初回契約費・更新手数料・住居確保サポート費・面談追加料金などが加算される機関もあります。総額でいくらかかるかを契約前に必ず書面で確認してください。

⑤ 自社の所在地に対応できるか

面談やオリエンテーションなど、現地での対応が必要な支援項目があります。自社や外国人材の居住地に対応できる機関かどうか、遠方の場合の対応方法も確認しておきましょう。

⑥ 担当者の顔が見えるか

契約後に担当者が頻繁に変わったり、問い合わせへの返答が遅い機関ではトラブル時の対応が不安です。初回の問い合わせや無料相談の段階で、担当者の対応の丁寧さ・レスポンスの速さを確認しておくことが大切です。

登録支援機関一覧の確認方法

出入国在留管理庁の公式HPで「登録支援機関登録簿」をExcelファイルでダウンロードできます。都道府県・対応言語でフィルタリングして候補を絞り込むことができます。ただし名簿への掲載は登録の証明にすぎず、実績・質の保証ではありませんので、必ず個別に確認してください。


この回のまとめ

  • 登録支援機関は受入れ企業から委託を受けて支援業務を代行する専門機関。ビザ申請取次は別業務(行政書士等)であり、混同しないこと
  • 初めて特定技能外国人を受け入れる中小企業は、ほぼ必ず登録支援機関への全部委託が義務になる。委託料の目安は1名あたり月額2〜4万円程度
  • 選び方の6つのポイント(分野・国籍の実績/対応言語/費用の明確さ/対応エリア/担当者の対応力)を必ず確認し、複数機関を比較してから契約すること  


次回予告

第8回「受入れ後の法定支援(義務的支援)とは」

無事に外国人材が入社したあと、会社が継続して行わなければならない支援の具体的な内容と実務上の注意点を詳しく解説します。