【特定技能受入れガイド 第8回「特定技能外国人 受入れ後の義務的支援とは」】

   

はじめに

無事に外国人材が入社したあと、さあ、これで終わり とはなりません。特定技能1号の外国人材を雇用している間は、会社が継続的に10項目の支援を実施し続ける義務があります。さらに2025年4月からは、「地域との共生施策への協力」という新たな義務も加わりました。この回では、10項目の支援の具体的な内容・実施上のポイント・記録の残し方に加え、2025年4月からの新たな義務まで、受入れ後の実務として知っておくべきことを整理します。

  

  


❶ 義務的支援の全体像 ── 10項目の内容

支援は大きく「入社前後に行うもの」と「入社後に継続して行うもの」に分かれます。

【入社前〜入社直後に行う支援】

① 事前ガイダンス(入社前に実施)

雇用契約締結後、在留資格申請を行う前に、外国人材に対して日本での生活・就労に関する情報を説明します。主な内容は次のとおりです。

  • 労働条件・仕事内容・勤務場所
  • 日本での生活ルール(住居・ゴミの出し方・交通マナーなど)
  • 入国手続きの流れ
  • 保証金や違約金が徴収されていないことの確認

対面のほか、電話・ビデオ通話での実施も認められています。実施時間の目安は3時間程度以上が求められます。必ず外国人材が十分に理解できる言語(母国語等)で行うことが必要です。

② 出入国時の送迎

入国時は空港から事務所または住居まで、帰国時は空港の保安検査場まで送迎する義務があります。交通費は会社が負担します。なお、一時的な帰国(ホリデー帰国など)の際は送迎義務はありません。

③ 住居確保・生活に必要な契約の支援

日本に来てすぐに自力でアパートを借りることは外国人材には非常に困難です。会社が社宅・寮を提供するか、賃貸物件を一緒に探し、賃貸契約の連帯保証人になるか保証会社の利用を支援することが求められます。また、銀行口座の開設・電気・ガス・水道などのライフライン契約・携帯電話の契約についても支援します。

④ 生活オリエンテーション

日本での生活をスムーズに始められるよう、入国後に総合的な説明を行います。目安は8時間程度で、主な内容は以下のとおりです。

  • ゴミの分別・出し方
  • 交通ルールと交通機関の使い方
  • 緊急時(病院・警察・火事)の対応方法
  • 年金・健康保険・税金の仕組み
  • 法令違反や人権侵害があった場合の相談先・連絡方法

こちらも必ず外国人材が理解できる言語で実施する必要があります。

⑤ 公的手続きへの同行

来日直後に必要な公的手続き(住民票の登録・健康保険・年金の加入など)に担当者が同行してサポートします。書類の書き方がわからない・言葉が通じないといった場面で一人で対応させることのないよう、必ず付き添いましょう。


【入社後に継続して行う支援】

⑥ 日本語学習の機会提供

外国人材が日本語能力をさらに高められるよう、学習の機会を提供する義務があります。必ずしも日本語学校に通わせる必要はなく、日本語学習アプリや教材の紹介・費用補助、社内での学習時間の確保、地域の日本語教室への案内などの方法でも対応できます。

⑦ 相談・苦情への対応

外国人材がいつでも相談できる窓口を設け、外国人材が理解できる言語で対応できる体制を整えます。「日本語しかわからないスタッフしかいない」という状況では要件を満たしません。メール・電話・対面など複数の連絡手段を案内しておくことが望ましいです。

⑧ 日本人との交流促進

外国人材が地域社会に溶け込み、孤立しないよう日本人との交流の機会を提供します。地域の自治会や行事への参加案内、社内イベントへの参加促進、近隣住民への挨拶の機会づくりなどが考えられます。

⑨ 転職支援(会社都合の離職時)

会社都合(解雇・倒産など)で雇用契約が解除される場合には、外国人材が次の就職先を見つけられるよう支援する義務があります。ハローワークへの同行・推薦状の作成・求職活動のための有給休暇の付与・次の雇用先が決まるまでの在留資格に関する情報提供などが求められます。なお、外国人材の自己都合による退職の場合は、この支援義務は発生しません。

⑩ 定期的な面談の実施と報告

支援責任者または支援担当者が、外国人材本人および直属の上司と3か月に1回以上の頻度で定期面談を行います。面談では労働条件が雇用契約書どおりに守られているか・職場や生活上の悩みはないか・支援計画が適切に実施されているかを確認します。

面談の結果、法令違反の事実が確認された場合は関係機関への速やかな通報が義務付けられています。また、面談内容はすべて記録し、書類として保管しておく必要があります。

【2025年4月改正のポイント】定期面談のオンライン実施が条件付きで可能に 2025年4月から、定期面談はオンライン(ビデオ通話等)での実施が認められるようになりました。ただし、面談の録画・保存が必要です。また、最初の面談や担当者変更後の初回面談は対面での実施が推奨されています。


❷ 2025年4月から追加:地域との共生施策への協力義務

2025年4月1日の制度改正により、受入れ企業には「地域との共生施策への協力」という新たな義務が加わりました。これは特定技能外国人の受入れ数が今後さらに増えることを踏まえ、外国人材が日本の地域社会に溶け込んで安心して暮らせる環境を会社・外国人材・地方自治体が一緒につくるための仕組みです。

具体的に会社がやるべきこと

① 協力確認書の提出

在留資格申請を行う前に、外国人材が働く事業所の所在地居住する市区町村の両方の役所に「協力確認書」を提出する必要があります。協力確認書は会社が作成し、各市区町村に提出します(出入国在留管理庁への提出は不要です)。

同一の事業所で2人目以降を採用する場合は、同じ市区町村への再提出は不要です(外国人材が別の市区町村に転居した場合は新たに提出が必要)。

② 自治体からの協力要請への対応

地方自治体から「外国人との多文化交流イベントへの参加」「地域の防災訓練への参加案内」などの協力を求められた場合は、原則として対応する義務があります。

ただし、次のような内容への協力は対象外とされています。

  • 法的根拠のない強制参加の要請
  • 自治体への拠出金を求めるもの
  • 特定技能外国人の支援と明らかに関係のないもの

③ 支援計画書への反映

支援計画書(第1-17号)には、2025年4月から「Ⅴ 共生施策関係」の記入欄が新設されました。事業所の所在地の自治体が実施している共生施策を確認し(各自治体のホームページで確認可)、確認日・確認方法を記入する必要があります。

   

           


❸ 支援の実施で絶対に押さえたい3つのルール

① すべての支援は「外国人が理解できる言語」で行う

支援の多くは、日本語だけで行っても要件を満たしません。外国人材の母国語またはわかりやすい言語での実施が大前提です。

② 支援の記録を必ず書面で残す

面談記録・オリエンテーションの実施記録・相談対応の記録など、すべての支援は実施した記録を書面で保管する義務があります。この記録は定期報告の際にも使用しますので、その都度きちんと整理しておくことが重要です。

③ 支援計画の内容を変更したら14日以内に届出

支援担当者の変更・対応言語の変更・登録支援機関の変更など、支援計画の内容に変更が生じた場合は、14日以内に出入国在留管理庁へ届出が必要です。変更の届出を怠ると法令違反になります。

     

    


この回のまとめ

  • 義務的支援10項目は「入社前後に行うもの」(事前ガイダンス・送迎・住居確保・生活オリエンテーション・公的手続き同行)と「入社後に継続して行うもの」(日本語学習支援・相談対応・交流促進・転職支援・定期面談)に分かれる。2025年4月から定期面談はオンライン実施も可(録画・保存が必要)
  • 2025年4月から「地域との共生施策への協力」が新たに義務化。在留資格申請前に事業所・居住地の市区町村へ「協力確認書」を提出し、支援計画書の「Ⅴ 共生施策関係」欄への記入も必須となった
  • すべての支援は「外国人が理解できる言語」で実施し、内容を記録・保管すること。支援計画に変更が生じた場合は14日以内に届出が必要

  

     


次回予告

第9回「各種届出・定期報告の種類とスケジュール」

入社後には出入国在留管理庁への定期報告や随時届出など、さまざまな報告義務が発生します。何を・いつ・どこに届け出るべきかを一覧でわかりやすく解説します。