【特定技能 「技能試験・日本語試験」】

  

     

── 採用担当者が知っておくべき基本と実務のポイント ──

「採用候補者から試験の合格証明書を受け取ったけれど、何を確認すればいいのかわからない」「そもそもどんな試験があるの?」——特定技能外国人の採用を検討している企業の担当者から、こういった声をよく耳にします。

特定技能1号の在留資格を取得するには、原則として「分野別の技能試験」と「日本語試験」の2種類に合格している必要があります。ただし、一定の条件を満たす場合は試験が免除されるルートもあります。

この記事では、試験の全体像・各分野の試験一覧・日本語試験の種類・試験免除のケースまで、採用担当者として知っておくべきことをわかりやすく整理します。


❶ まず全体像を把握する ── 2種類の試験が必要

特定技能1号の在留資格申請に必要な試験は次の2種類です。

試験の種類 内容 実施主体
① 分野別 技能評価試験 各産業分野の業務に必要な知識・技能を測る試験 各分野の所管省庁・業界団体
② 日本語試験 日本での生活・就労に必要な日本語力を測る試験 国際交流基金・日本国際教育支援協会

この2つに両方合格して初めて、特定技能1号の在留資格申請が可能になります。どちらか一方だけでは申請できません。

また、介護分野だけは例外で、上記2つに加えて「介護日本語評価試験」にも合格する必要があります。介護現場特有の言葉や会話を問う試験で、厚生労働省が実施しています。

採用担当者へのポイント 候補者から合格証明書を受け取ったら、まず「技能試験」「日本語試験」の両方が揃っているかを確認してください。片方しかない場合は、もう一方の試験に合格するまで在留資格の申請ができません。採用後のスケジュールに影響しますので、面接の段階で両方の合否状況を確認するようにしましょう。

                     

❷ 分野別 技能評価試験 ── 分野ごとに試験が全く違う

試験の目的

技能評価試験とは、対象となる各分野で外国人が即戦力(特段の育成・訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できる水準)として業務を行うために必要な知識や経験を持っているかを測る試験です。 言い換えれば、「この人は入社してすぐ現場で動けるレベルか」を確認するための試験です。

試験の形式

試験はコンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式またはペーパーテスト方式等で行われます。試験の問題文は日本語のほか、外国語で受験できるものもあり、対応言語は分野ごとに異なります。日本語にはルビが振られます。

各分野の技能試験と実施機関一覧

分野 試験名 実施機関
介護 介護技能評価試験 厚生労働省(公益社団法人 国際厚生事業団)
ビルクリーニング ビルクリーニング分野特定技能評価試験 全国ビルメンテナンス協会
工業製品製造業 製造分野特定技能評価試験 経済産業省
建設 建設分野特定技能評価試験 建設技能人材機構(JAC)
造船・舶用工業 造船・舶用工業分野特定技能試験 日本海事協会
自動車整備 自動車整備分野特定技能評価試験 日本自動車整備振興会連合会
航空 航空分野特定技能評価試験 日本航空技術協会
宿泊 宿泊分野特定技能評価試験 宿泊業技能試験センター
農業 農業技能測定試験 全国農業会議所
漁業 漁業技能測定試験 大日本水産会
飲食料品製造業 飲食料品製造業特定技能測定試験 外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)
外食業 外食業特定技能測定試験 外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)
自動車運送業 自動車運送業分野特定技能評価試験 日本海事協会
鉄道 鉄道分野特定技能評価試験 国土交通省
林業 林業分野技能測定試験 林業技能向上センター
木材産業 木材産業特定技能測定試験 全国木材組合連合会

 試験の最新日程・申込方法・費用は各実施機関の公式ホームページでご確認ください。また、出入国在留管理庁HPに試験実施予定一覧表が公開されています。

合格証明書を受け取ったときに確認すること

候補者から合格証明書を受け取った際は、必ず以下の3点を確認してください。

分野・業務区分が自社の採用予定と一致しているか たとえば「外食業」で採用する予定なのに「飲食料品製造業」の合格証明書しかない、というケースは認められません。分野と業務区分が自社の業務と完全に一致しているかを確認しましょう。

有効期限内かどうか 合格証明書の有効期限は分野によって異なります。有効期限が設けられている分野の場合、期限切れの証明書では申請できません。

偽造・変造でないか 各実施機関が合格者照会システムを設けている場合は、必ず照合確認を行いましょう。


❸ 日本語試験 ── 2種類から選べる

日本語の能力を測る試験は「日本語能力試験(JLPT)」または「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」のどちらかを受験します。どちらの試験を受けても問題ありません。 

① JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)

日本の生活場面でのコミュニケーションに必要な日本語能力を測定し、「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」があるかどうかを判定するテストです。

主な特徴は次のとおりです。

  • 試験形式:CBT方式(パソコンを使って受験)
  • 試験科目:文字と語彙・会話と表現・聴解・読解の4セクション約50問(受験時間 60分)
  • 合格基準:250点満点中200点以上
  • 受験時期:毎月のように受験機会があります
  • 結果確認:テスト終了後すぐにパソコン画面で確認でき、受験後5営業日以内に判定結果通知書が表示されます
  • 受験料(国内目安):日本国内では10,000円
  • 再受験:前回の受験日から45日間あける必要があります
  • 実施国:日本を含む14か国(モンゴル・バングラデシュ・インド・ネパール・スリランカ・カンボジア・インドネシア・ミャンマー・フィリピン・タイ・ウズベキスタン・パキスタン・ベトナム・日本)

② JLPT(日本語能力試験)

日本語を母語としない人を対象とした世界最大規模の日本語試験です。N1〜N5の5段階のレベルがあり、特定技能1号にはN4レベル以上の合格が必要です。

  • 試験形式:マークシート方式
  •   試験科目:言語知識・読解・聴解を中心にN1~N5レベルによって違います
  •   合格基準:総合得点が合格点以上であることと、各得点区分の得点が基準点以上であることが必要です
  • 受験時期:年2回、主に7月と12月に実施。海外は年1回のみの場合があります
  • 結果確認:第1回(7月)試験の結果は9月上旬、第2回(12月)試験の結果は2月上旬が目安。合否結果通知書は約3か月後に届きます
  • 受験料(国内):日本国内の場合は7,500円
  • 実施国:日本と約100の国と地域

2つの試験の比較

  JFT-Basic JLPT(N4)
受験機会 ほぼ毎月 年2回(7月・12月)
結果確認 当日 約2か月後
試験方式 CBT(パソコン) マークシート
合格基準 200点以上/250点満点 N4レベル合格
受験料(国内) 10,000円 7,500円
実施国数 14か国 約100か国・地域
合格証明書の有効期限 なし なし

採用面接などで履歴書を見た際、JFT-BasicとJLPTのどちらで合格しているほうが日本語能力が高いということはありません。実施回数が違うため、外国人材は受験したいタイミングで実施している試験を選んでいる場合がほとんどです。

採用スケジュールへの影響

JFT-Basicは受験機会が多く結果もその日にわかるため、採用・申請スケジュールを立てやすい試験です。一方JLPTは年2回(7月・12月)しか実施されないため、たとえば1月に採用を決めた候補者がまだJLPTに合格していない場合、次の受験機会は7月、結果が出るのは9月となり、申請まで大きなタイムラグが生じます。採用面接の段階で試験の合否状況と今後の受験予定を確認しておくことが、スムーズな採用につながります。


❹ 試験免除になるケース 

採用コスト・スケジュールの両面で非常に重要なのが試験免除の確認です。以下の条件に該当する場合は試験が免除されます。

技能試験・日本語試験の両方が免除されるケース

技能実習2号を良好に修了、または技能実習3号の実習計画を満了することで在留資格を移行できます。 ただし同一分野・関連業務区分への移行に限られます。また、「良好修了」の証明として修了証明書・技能実習評価試験合格証等の書面確認が必要です。

介護分野のみの追加免除ケース

介護分野の第2号技能実習を修了した方のほか、介護福祉士養成施設を修了した方、EPA介護福祉士候補者としての在留期間(4年間)を満了した方も試験免除となります。

免除確認のポイント

「技能実習2号を修了していれば全分野免除」と誤解されやすいですが、技能実習の分野と特定技能の分野が対応していることが条件です。たとえば技能実習で「建設」を修了した方が「外食業」の特定技能に移行する場合は免除になりません。


まとめ

  • 特定技能1号には「分野別技能評価試験」と「日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)」の両方の合格が必要。介護分野はこれに加えて「介護日本語評価試験」も必要
  • 技能評価試験は分野ごとに実施機関・内容・費用が異なる。合格証明書を受け取ったら分野・業務区分の一致と有効期限を必ず確認すること
  • 日本語試験はJFT-Basic(ほぼ毎月・当日結果)とJLPT(年2回・結果は約2か月後)の2種類。どちらも日本語能力の証明として同等。採用スケジュールへの影響を考慮して確認すること
  • 技能実習2号を良好に修了した場合(同一分野)は両試験が免除。分野の対応関係は事前に必ず確認が必要