【特定技能から永住許可へのロードマップ|企業担当者が知っておきたい通算在留期間のカウントルール】

「うちで5年間働いてくれた特定技能の○○さん、そろそろ永住できますよね?」――外国人材の受け入れに取り組む企業のご担当者様から、よくいただくご質問です。

結論からお伝えすると、残念ながら「特定技能1号で5年働いただけ」では永住許可は取れません。これは、永住許可の独特なルールに「特定技能1号の期間は就労実績としてカウントしない」という規定があるためです。

本記事では、外国人受け入れの初心者の方にもわかるように、図解を交えながら永住許可までの正しいロードマップをご説明します。「いつ・どんな手続きで永住に近づくのか」が見えてくれば、外国人社員のキャリア設計や定着支援にもつながります。

    

1. まず知っておきたい|永住許可の「3つの要件」

永住許可を受けるためには、入管法上、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。少し堅い言葉ですが、内容はシンプルです。

このうち、特定技能で働く外国人の方にとって最大の関門となるのが、3つ目の「国益適合要件」のなかにある"在留期間"のルールです。ここに、多くの方が見落とす重要な落とし穴があります。

     

2. 最重要ポイント|「10年に含まれる」と「5年に含まれる」は別の話

永住許可ガイドラインでは、在留期間について次のように定められています。

📋 ガイドラインの規定

「原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。」

少し難しい文章ですが、要点は次の2つです。

  1. 10年ルール:日本に10年以上いること
  2. 5年ルール:そのうち5年以上は「就労ビザ」または「身分系ビザ」で働いていること。ただし「技能実習」と「特定技能1号」の期間はこの5年から除外される

つまり、特定技能1号の期間は「10年の分母」にはカウントされるのに、「直近5年の就労実績」にはカウントされないという、二重ルールになっているのです。

 

💡 担当者が押さえるべき要点

「特定技能1号で5年働いた→次は永住」ではありません。特定技能2号、または技術・人文知識・国際業務などの就労ビザに変更してから、さらに5年働く必要があります。最短でも10年スパンの長期計画になることを、外国人社員と共有しておきましょう。

3. 永住までの4つのロードマップ|タイムラインで理解する

では、特定技能で働く外国人が永住許可を目指す場合、具体的にどんなルートがあるのでしょうか。代表的な4つのルートをタイムラインで見ていきます。

ルートA:1号→2号(最も一般的な王道ルート)

特定技能1号で5年働いた後、分野別の特定技能2号評価試験に合格して2号へ移行するルートです。多くの分野で「2年以上の管理・職長経験」など実務面のハードルもあります。2号に切り替わってからさらに5年経過すれば、永住申請が可能になります。

ルートB:技能実習→特定技能1号→2号

技能実習生として3年(または5年)日本で働いた方が、特定技能1号、2号と段階的に在留資格を切り替えていくルートです。在留期間自体は通算13年程度になりますが、永住要件の「直近5年の就労実績」は2号に切り替わってからカウントされる点は同じです。

ルートC:特定技能1号→技術・人文知識・国際業務

本人が大学等を卒業しており、業務内容が専攻と関連する場合、いわゆる「技人国ビザ」へ変更できる場合があります。事務職や通訳・翻訳業務、エンジニアなどへキャリアチェンジするケースで、技人国として5年働けば永住要件を満たせます。

ルートD:介護分野の特例

介護分野で特定技能1号として働きながら介護福祉士の国家資格を取得すると、在留資格「介護」へ変更できます。「介護」は在留期間の上限がなく、永住要件の就労実績にもカウントされる、介護分野ならではの優遇ルートです。

        

4. 税金・年金の納付ミスが命取りに

近年の永住許可審査でもっとも厳しくチェックされるようになったのが、税金・社会保険料の納付状況です。2024年(令和6年)の入管法改正により、ルールが大きく変わりました。

⚠ 改訂ガイドラインの重要ポイント

申請時点で納付済みであっても、本来の納付期限内に支払っていなかった場合は原則マイナス評価になります。「気づいたときに慌てて払った」ではアウトです。

 

  

さらに重要なのは、永住許可を取得した後も納付遅延が続けば、永住資格そのものが取り消される可能性があるという点です。永住はゴールではなく、その後も継続的な義務履行が求められる点を、外国人社員にも丁寧に説明しておく必要があります。

     

5. 企業として支援できる4つのこと

外国人材の永住取得は、本人だけの問題ではありません。企業の協力次第で大きく成功率が変わります。担当者として取り組める具体的な支援策を4つご紹介します。

6. よくあるご質問

Q、特定技能1号の最大5年が終わったら、必ず帰国しないといけませんか?

A、いいえ。特定技能2号への移行、技人国などへの在留資格変更、結婚による身分系資格への変更などの選択肢があります。永住を目指すなら2号移行が王道です。

Q、特定技能2号で5年経てば自動的に永住が取れますか?

A、自動ではありません。3要件(素行善良・独立生計・国益適合)すべてを満たして申請する必要があり、特に税金・年金の納付履歴は厳しくチェックされます。

Q、うっかり国民年金を1か月だけ滞納してしまった社員がいます。永住は無理ですか?

A、納付期限に1日でも遅れると不許可の可能性が高いです、お早めに行政書士へご相談ください。

     

7. 10年スパンの長期戦略を立てよう

特定技能から永住許可を目指すには、次の3つを押さえることが何より重要です。

  1. 特定技能1号の期間は「直近5年の就労実績」にカウントされない。2号への移行などが必須
  2. 最短でも10年スパンの長期計画。早い段階でキャリアパスを設計しておく
  3. 税金・年金の期限内納付は絶対。日々の運用が10年後の合否を決める

外国人材に長く活躍してもらいたいと考えるなら、採用初日から永住までを見据えた支援設計が最も効果的な定着策です。本人にとっても、永住という具体的なゴールが見えれば、それは強力なモチベーションとなります。