【特定技能受入れガイド 第2回「受入れ可能な業種・職種の確認方法」】
はじめに
「うちの会社でも特定技能の外国人を雇えますか?」——この問いに答えるには、自社の業種・業務内容が特定技能の対象分野に該当するかどうかを正確に確認する必要があります。
単に業種が近いだけでは不十分で、会社の許可・登録の有無や、具体的な業務内容が「対象業務区分」に合致しているかまで確かめなくてはなりません。
この回では、16分野の全体像と、自社が対象かを調べる具体的な手順をお伝えします。
❶ 特定技能で受入れ可能な「16分野」とは
特定技能の受入れは、
「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針」(令和元年閣議決定、令和6年3月改正)
によって定められた特定産業分野に限られます。
2024年3月29日の閣議決定で4分野が追加され、現在は以下の計16分野が対象です。
| 分野名 | 所管省庁 | |
|---|---|---|
| 1 | 介護 | 厚生労働省 |
| 2 | ビルクリーニング | 厚生労働省 |
| 3 | 工業製品製造業 | 経済産業省 |
| 4 | 建設 | 国土交通省 |
| 5 | 造船・舶用工業 | 国土交通省 |
| 6 | 自動車整備 | 国土交通省 |
| 7 | 航空 | 国土交通省 |
| 8 | 宿泊 | 観光庁 |
| 9 | 農業 | 農林水産省 |
| 10 | 漁業 | 水産庁 |
| 11 | 飲食料品製造業 | 農林水産省 |
| 12 | 外食業 | 農林水産省 |
| 13 | 自動車運送業 | 国土交通省 |
| 14 | 鉄道 | 国土交通省 |
| 15 | 林業 | 林野庁 |
| 16 | 木材産業 | 林野庁 |
この16分野は「労働力の確保が困難な状況にある産業上の分野」として政府が指定したものであり、それ以外の業種では受入れができません。今後新たに「リネン・物流倉庫・資源循環」の3分野の追加が決まっています。
❷ 「業種は合っている」だけでは不十分 ── 業務区分の確認が必須
16分野に該当しそうだと思っても、それだけでは受入れの可否は判断できません。
各分野には「業務区分」があり、外国人材が実際に従事できる業務の範囲が細かく定められているからです。業務区分の確認にあたっては出入国在留管理庁が公式に公開している「特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description)」を参考ください。
▶ https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/10_00179.html
このページでは全16分野について「従事する主な業務」と「想定される関連業務」が具体的に列挙されています。
たとえば外食業であれば次のような内容が確認できます。
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飲食物調理:食材仕込み・加熱調理・非加熱調理・調味・盛付け 等
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接客:席への案内・注文伺い・配膳・下膳・代金受取り・予約受付 等
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店舗管理:シフト管理・食材発注・衛生管理・レジ管理・作業マニュアルの作成 等
外食業では、この3つの業務区分すべてに幅広く従事させることが必要です。
これは運用要領(外食業分野に係る要領別冊)に明記されており、
特定技能外国人は「試験等で立証された能力を用いて外食業全般の業務に幅広く従事する必要がある」とされています。
ただし、1つの業務だけを固定し続けることが直ちに禁止されているわけではありません。運用要領では
「職場の状況に応じて、在留期間全体の一部の期間において調理担当に配置されるなど、特定の業務にのみ従事することも差し支えない」とも明記されています。
つまり「長期的に見て幅広い業務に携わる機会がある」状態が求められており、シフトや業務担当を一時的に絞ること自体は許容されるという解釈です。
なお、Job Descriptionページに記載されている「関連業務」は、主たる業務に付随的に従事することは差し支えないとされていますが、関連業務のみに専従させることは認められていません。
「自社でやらせたい仕事が特定技能の対象に含まれるのか」を確かめる際は、まずこのJob Descriptionページを最初の確認先として活用してください。
【実務チェックポイント】
① 自社の事業が16分野のどれに該当するか確認する
② 該当分野の業務区分を照合する
③ Job Descriptionページで具体的な業務内容・関連業務を確認する
④ 実際に外国人材に担当させたい業務が「対象業務」に含まれているか確認する
❸ 受入れには「分野別の追加要件」もある
在留資格の申請とは別に、所管省庁への手続きや分野協議会への加入が義務付けられています。これを見落とすと、書類を揃えても受入れができないという事態になります。
代表的なものを挙げます。
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建設分野:
国土交通大臣の認定を受けた「建設特定技能受入計画」の事前認定が必要です。
また一般社団法人建設技能人材機構(JAC)への加入と建設キャリアアップシステム(CCUS)への事業者登録も必須で、
建設業許可の保有も要件のひとつとなっています。 -
介護分野:
訪問系サービス(訪問介護等)では特定技能外国人を従事させることができません。
受入れ先は施設系・通所系のサービスに限定されています。 -
宿泊分野:
旅館業法上の旅館・ホテル営業の許可を受けた施設であることが必要です。
民泊施設は対象外です。 -
飲食料品製造業:
2024年改正により、スーパーマーケットでの惣菜製造なども対象事業所に含まれるようになりましたが、食品衛生法上の営業許可が必要です。
これらの分野別協議会への加入手続きは申請と並行して進めることになりますが、建設分野のようにJACへの加入審査に数週間かかるケースもあるため、
採用活動の開始と同時に動き出すスケジュール感が重要です。
この回のまとめ
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特定技能の受入れは16分野のみが対象。※19分野に拡大予定
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業種が合っていても「業務区分」の照合が必須
出入国在留管理庁の「Job Description」ページで従事可能な具体的業務を確認すること
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/10_00179.html -
外食業のように「幅広い業務への従事」が原則となっている分野では業務の組み方にも注意が必要
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建設・介護・宿泊など一部の分野では在留資格申請以外に所管省庁への手続きや協議会加入が別途必要
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採用活動と同時進行で手続きを開始することが重要
業務区分の照合は専門的な読み解きが必要な場合も多いため、判断が難しい場合は行政書士などの専門家にご相談ください。
