【特定技能受入れの総コスト試算_登録支援機関委託料・試験・渡航費・住居まで徹底解説】
「外国人材を採用したいが、結局いくらかかるのか分からない」――特定技能制度を検討される企業様から、最も多くいただくご相談の一つです。
制度の手続きは複雑で、費用項目も人材紹介料から運用後の支援委託料まで多岐にわたります。採用ルートによって総額が30万円で済むケースから150万円を超えるケースまで大きく変動するため、事前のコスト試算なしに進めると、後から想定外の出費が発生する可能性があります。
本記事では、特定技能外国人1名を受入れる際に発生する費用を初期費用と運用費用に分けて整理し、採用ルート別のシミュレーション、そして企業負担と本人負担の法的な線引きまで、実務目線で解説します。
コスト構造の全体像
特定技能外国人の受入れにかかる費用は、大きく「初期費用(イニシャルコスト)」と「運用費用(ランニングコスト)」に分けて考えるのが実務的です。
| 区分 | 主な項目 |
|---|---|
| 初期費用 | 人材紹介料・送り出し機関費用/試験関連費用/在留資格申請費用/渡航費/住居準備費/健康診断費 |
| 運用費用 | 登録支援機関委託料(月額)/在留資格更新費用/家賃補助/定期健康診断費 |
目安として、初期費用は30万円〜150万円、運用費用は1人あたり月額2〜4万円が一般的なレンジです。
【初期費用】項目別の内訳
① 人材紹介料・送り出し機関費用
人材紹介会社や登録支援機関を利用する場合、成功報酬型の紹介手数料が発生します。相場は想定年収の20〜35%、または固定で20〜60万円程度です。
また、ベトナム・インドネシア・フィリピン・カンボジアなどでは、認定送り出し機関の利用が必要となる場合があり、1人あたり20〜60万円程度の費用が追加で発生することがあります。
② 試験関連費用(日本語・技能試験)
特定技能1号では、日本語試験および分野別技能試験の合格が原則必要です。
| 試験 | 受験料(日本国内) |
| 日本語能力試験(JLPT)N4以上 | 7,500円 |
| JFT-Basic | 10,000円 |
| 分野別技能試験 | 7,000円〜 |
試験費用は原則本人負担ですが、実務上は企業が研修費や教材費を負担するケースも増えています。
③ 在留資格申請費用
申請には多くの書類が必要となるため、行政書士等への委託が一般的です。
- 新規認定・変更申請:10〜20万円
- 更新申請:3〜6万円
④ 渡航費
海外から呼び寄せる場合の航空券代は、1人あたり5〜15万円が目安です。
渡航費は本人負担とすることも可能ですが、実務上は企業負担とするケースが多くなっています。また、帰国時に本人が費用を負担できない場合は企業が負担する義務があります。
⑤ 住居準備費用
住居の確保は義務的支援に含まれます。
| 項目 | 目安金額 |
| 敷金・礼金・仲介手数料 | 20〜40万円 |
| 家具・家電 | 5〜15万円 |
| 初期備品・引越し | 数万円 |
主な方式は以下の2つです。
- 企業借上社宅方式
- 本人契約サポート方式
なお、家賃徴収は実費相当額までに制限されます。
⑥ 健康診断費用
入管要件を満たす健康診断が必要で、1回あたり1〜2万円程度が目安です。
【運用費用】項目別の内訳
① 登録支援機関への委託料
義務的支援の実施が必要なため、多くの企業は登録支援機関に委託します。
- 月額:2〜4万円(平均約28,000円)
料金体系は以下の通りです。
- 月額定額型
- 項目別従量型
契約時には、支援内容と料金の対応関係を必ず確認する必要があります。
② 在留資格更新費用
更新時の委託費用は3〜6万円程度です。
③ その他のランニングコスト
- 同等報酬要件(日本人と同等以上の給与)
- 社会保険・労働保険加入
- 家賃補助(1〜3万円程度)
採用ルート別コストシミュレーション
ケースA:海外から新規採用
- 紹介料・送り出し費用:30〜80万円
- 在留資格申請:10〜20万円
- 渡航費:5〜15万円
- 住居準備:25〜50万円
合計:80〜170万円程度
ケースB:国内在住者を採用※留学生・特定活動等からの変更
- 紹介料:25〜60万円
- 在留資格変更:10〜20万円
- 住居準備:5〜30万円
合計:40〜110万円程度
ケースC:技能実習2号からの移行
- 在留資格変更:10〜20万円
- 支援初期費用:5〜15万円
合計:15〜35万円程度
本人負担できる費用・できない費用
| 本人負担可能 | 企業負担必須 |
| 渡航費(合意が必要) | 義務的支援費用 |
| 住居費(実費) | 支援委託料 |
| 健康診断費 | 帰国費用(条件あり) |
| 申請委託費(任意) | 給与・社会保険 |
義務的支援費用を本人に負担させることは認められていません。
また、本人負担とする場合は必ず書面で合意しておく必要があります。
コスト削減の実務ポイント
技能実習からの移行を優先
コスト・定着率ともに優れた選択肢です。
支援機関は価格だけで選ばない
支援体制や対応力を確認することが重要です。
住居費の最適化
シェアハウス方式で初期費用を分散できます。
補助金の活用
自治体ごとの制度を確認することでコスト削減が可能です。
コスト試算は採用戦略そのもの
特定技能外国人の受入れコストは、採用ルートと支援体制によって大きく変動します。目先のコストだけで判断すると、結果的に高コストになるケースも少なくありません。
重要なのは、初期費用・運用費用・本人負担の可否を整理し、自社に適した採用戦略を設計することです。
初めて特定技能として外国人を採用される場合、コストシミュレーションから在留資格申請、支援体制の構築まで、実態に即した方法で安心して進められるよう是非専門家へご相談ください。
