【特定技能】自動車運送業分野の「特定活動(準備活動)」とは?運転免許取得までの流れを解説
「特定技能で外国人ドライバーを採用したいが、日本の運転免許はいつ取得するのだろうか。」
自動車運送業分野について、このようなご相談をいただくことがあります。
自動車運送業は、令和6年3月に特定技能制度の対象分野へ追加された比較的新しい分野です。人手不足が深刻な一方で、受入れはまだ始まったばかりであり、人材確保のチャンスが大きい分野でもあります。
一方で、自動車運送業には他の特定技能分野にはない特徴があります。それが、**日本の運転免許取得などを目的とした「特定活動(特定自動車運送業準備)」**という在留資格です。
今回は、この制度の概要と、受入れ企業が押さえておきたい実務上のポイントを解説します。
1.なぜ自動車運送業だけ準備期間が設けられているのか
特定技能1号として自動車運送業で働くためには、日本で有効な運転免許を取得していることが必要です。
さらに、
- タクシー運転者
- バス運転者
については、日本の運転免許に加え、新任運転者研修を修了しなければ業務に従事できません。
これらの手続は海外では完了できないため、外国人本人が来日し、日本国内で免許取得や研修を受けるための期間が必要となります。
そのために設けられた在留資格が、「特定活動(特定自動車運送業準備)」です。
2.「特定活動(特定自動車運送業準備)」とは?
この在留資格は、将来的に特定技能1号として自動車運送業で働くことを前提に、日本の運転免許取得や新任運転者研修を受けるための準備期間に認められる在留資格です。
あくまでも特定技能1号へ移行するための準備段階であり、この在留資格のまま本格的な運送業務に従事できるわけではありません。
企業としても、「採用したらすぐに運転業務を任せられる制度ではない」という点を理解しておくことが大切です。
3.在留期間は職種によって異なる
準備活動の在留期間は、目指す職種によって異なります。
トラック運転者
在留期間は6か月です。
タクシー運転者・バス運転者
在留期間は1年となっています。
いずれの場合も、在留期間の更新は認められていません。
限られた期間内に必要な免許取得や研修を終えられなければ、特定技能1号への移行ができなくなるため、計画的なスケジュール管理が重要です。
4.準備期間中に認められる活動
「特定活動(特定自動車運送業準備)」で認められる活動は限定されています。
具体的には、
- 運転免許取得に必要な手続
- 自動車教習所への通所
- タクシー・バス運転者に必要な新任運転者研修の受講
- 車両の清掃など準備活動に関連する業務
などが認められています。
一方で、通常の運送業務など、制度で認められていない業務に従事させることはできません。
企業側も、準備期間に従事できる業務を十分理解したうえで受入れ体制を整える必要があります。
5.特定技能1号と同様に満たすべき要件もある
運転免許取得や新任運転者研修以外の要件については、通常の特定技能1号と同様です。
例えば、
- 日本語能力
- 技能試験への合格
- 適切な雇用契約
- 支援計画の作成
など、特定技能制度で求められる要件を満たす必要があります。
また、受入れ機関は、雇用契約や支援計画に変更が生じた場合には、地方出入国在留管理局への届出など、通常の特定技能制度と同様の義務を負います。
準備期間中であっても、受入れ企業として適切な管理体制を整えておくことが求められます。
6.企業が押さえておきたい実務上のポイント
自動車運送業分野で外国人材を受け入れる際は、次の点を意識しておきましょう。
- 更新できない在留期間内で免許取得・研修修了まで完了できるスケジュールを組む
- 教習所の予約状況や本人の学習状況を定期的に確認する
- 万が一予定どおり免許取得ができなかった場合の対応もあらかじめ検討しておく
- 特定技能1号への移行時期を見据えて採用計画を立てる
自動車運送業分野はまだ制度開始から日が浅く、実務のノウハウも十分に蓄積されていません。
制度を正しく理解したうえで、余裕を持ったスケジュールを組むことが、円滑な受入れにつながります。
7.最後に
自動車運送業分野では、特定技能1号として働く前に、日本の運転免許取得などの準備期間が必要になります。
そのために設けられているのが、「特定活動(特定自動車運送業準備)」という在留資格です。
ポイントを整理すると、
- 特定技能1号で働くには日本の運転免許取得が必要
- タクシー・バスでは新任運転者研修の修了も必要
- 準備期間はトラックで6か月、タクシー・バスで1年
- 在留期間の更新はできない
- 準備期間中に認められる活動は、免許取得や研修受講などに限定される
という点を押さえておくことが重要です。
自動車運送業分野は、今後さらに外国人材の活用が期待される分野です。
受入れを検討している事業者は、準備活動から特定技能1号への移行までを見据えた採用計画や在留資格手続について、早めに行政書士などの専門家へ相談することをおすすめします。
