【特定技能】ビルクリーニング分野の運用要領が改正|2号に日本語要件を新設・育成プログラムも新設
令和8年8月28日、ビルクリーニング分野の運用要領が改正されました。令和9年4月1日から2号特定技能外国人に日本語能力水準(B1相当以上)が新たに求められるほか、技能実習2号からの移行要件が整理され、実務経験証明書の交付義務も明文化されました。新たに「育成・キャリア形成プログラム」も策定されます。本記事では改正内容を整理します。
目次
- 今回の改正の全体像
- 2号特定技能外国人に日本語要件が新設
- 技能実習2号からの移行要件が整理
- 実務経験証明書の交付義務が明文化
- 関連業務の範囲に関する解釈が明確化
- 協議会の役割が具体的に明記
- 新設「育成・キャリア形成プログラム」
- 事業者が今から確認すべきこと
- よくある質問(FAQ)
1.今回の改正の全体像
「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-ビルクリーニング分野の基準について-」とは、ビルクリーニング分野で特定技能外国人を受け入れる際の詳細なルールを定めた文書です。
令和8年8月28日、この運用要領が改正されました。
令和8年1月23日に閣議決定された新しい分野別運用方針(育成就労制度に係る方針も含む)を踏まえたもので、日本語要件の新設など、実務に直結する変更が含まれています。
2.2号特定技能外国人に日本語要件が新設
これまでビルクリーニング分野の2号特定技能外国人には、技能水準(評価試験の合格・実務経験2年以上)の要件はあっても、明確な日本語能力水準の要件はありませんでした。
改正後は、令和9年4月1日以降、2号特定技能外国人にも「日本語教育の参照枠」B1相当以上(日本語能力試験N3以上で、かつCEFRのB1相当以上と判定された場合に限る)の日本語能力が求められることになります。
具体的な運用の詳細は別途案内される予定です。
なお、1号特定技能外国人の日本語要件も、これまでの「A2相当以上」という表記から「A2.2相当以上」というより細分化された表記に変更されています。
対応する試験(国際交流基金日本語基礎テスト、日本語能力試験N4以上)自体に変更はありません。
3.技能実習2号からの移行要件が整理
ビルクリーニング職種・ビルクリーニング作業の技能実習2号を良好に修了した者が特定技能1号に移行する場合の、技能試験・日本語試験の免除に関する考え方が整理されました。
技能実習2号で修得した技能と、特定技能1号で従事しようとする業務の技能に関連性が認められる場合、令和9年4月1日以降も当分の間、必要な技能水準の証明は不要とされます。
また、技能実習2号を良好に修了した事実をもって日本語能力を有していることも証明されたものとみなされ、日本語試験を別途受験する必要はありません。
4.実務経験証明書の交付義務が明文化
特定技能雇用契約に基づき特定技能外国人をビルクリーニング分野の実務に従事させたときは、当該特定技能外国人からの求めに応じ、実務経験を証明する書面(電磁的記録を含む)を交付・提供しなければならない、という義務が新たに明文化されました。
これを怠ると基準に適合せず、受入れができなくなる可能性があるため注意が必要です。
5.関連業務の範囲に関する解釈が明確化
特定技能外国人が付随的に従事できる「関連業務」の範囲について、新たに次の解釈が明記されました。
- ジョブディスクリプション(職務記述書)に記載された「想定される関連業務」はあくまで例示であり、記載のない関連業務への従事を一律に禁止するものではない
- 住宅内部の清掃(いわゆるハウスクリーニング)のように、個人の責任の下で維持管理される空間を対象とする清掃は、関連業務には該当しない
現場では「どこまでが関連業務として認められるのか」という判断に迷うケースが少なくなかったため、この整理は実務上の目安として役立つ内容です。
6.協議会の役割が具体的に明記
ビルクリーニング分野における特定技能外国人の受入れに関する協議会について、協議を行う事項が新たに次の5点として明記されました。
- 特定技能外国人の受入れに係る状況の全体的な把握
- 問題発生時の対応
- 法令遵守の啓発
- 特定技能所属機関の倒産時等における特定技能外国人に対する転職支援
- 就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析等
特定技能所属機関は、在留諸申請の前に協議会に加入し、これらの事項について必要な協力を行う必要があります。
7.新設「育成・キャリア形成プログラム」
今回の改正では、新たに「育成・キャリア形成プログラム」という章が設けられました。
厚生労働省が関係業界等と協働して、育成就労・特定技能1号・特定技能2号を通じたビルクリーニング分野の育成プログラムを策定するというもので、次の事項が示される予定です。
- 特定技能外国人又は育成就労外国人が目指すレベル(求められる役割・作業)
- 習得する専門技能・日本語能力
- キャリアアップに向けた経験(現場管理等)
特定技能・育成就労の両制度を通貫したキャリアパスの指針として、厚生労働省のホームページで公表される見込みです。
8.事業者が今から確認すべきこと
- 2号特定技能外国人の受入れを検討している場合、日本語能力水準(B1相当以上)の要件充足を見込んだ採用・育成計画を立てる
- 技能実習2号からビルクリーニング分野の特定技能1号への移行を検討している人材がいる場合、修得技能の関連性が認められるかを確認する
- 実務経験証明書の交付義務を果たせるよう、勤務記録等を整備しておく
- 自社が扱う清掃業務のうち、どこまでが「関連業務」として認められるか、今回の解釈を踏まえて再確認する
- 厚生労働省が公表する「育成・キャリア形成プログラム」の内容を確認し、社内の育成計画に反映する
9.よくある質問(FAQ)
Q.2号特定技能外国人の日本語要件はいつから求められますか?
A.令和9年4月1日以降です。
日本語能力試験N3以上でCEFRのB1相当以上と判定された場合に限られます。
詳細な取扱いは別途案内される予定です。
Q.ハウスクリーニング(住宅内部の清掃)に従事させることはできますか?
A.ハウスクリーニングのように個人の責任の下で維持管理される空間の清掃は、特定技能外国人が付随的に従事できる「関連業務」には該当しません。
Q.ジョブディスクリプションに記載のない業務に付随的に従事させることはできますか?
A.ジョブディスクリプションの「想定される関連業務」はあくまで例示であり、記載のない関連業務への従事が一律に禁止されるわけではありません。
ただし、当該業務に従事する日本人が通常従事する業務であることなど、関連業務としての要件を満たす必要があります。
まとめ
今回の改正内容をまとめると、次のとおりです。
- 令和8年8月28日、ビルクリーニング分野の運用要領が改正された
- 令和9年4月1日から2号特定技能外国人に日本語能力水準(B1相当以上)が新たに求められる
- 技能実習2号からの移行要件(技能試験・日本語試験の免除ロジック)が整理された
- 実務経験証明書の交付義務が新たに明文化された
- 関連業務の範囲について、ジョブディスクリプションの例示性やハウスクリーニングの扱いが明確化された
- 協議会の役割が具体的に明記された
- 新たに「育成・キャリア形成プログラム」が厚生労働省により策定される
自社の日本語要件への対応や、関連業務の扱いについて不安がある場合は、ぜひ一度、行政書士などの専門家にご相談ください。
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最終更新日:2026年8月28日

