【特定技能】鉄道分野の運用要領が改正_新業務区分「駅・車両清掃」を追加
令和8年8月28日、鉄道分野の運用要領が改正されました。新たに「駅・車両清掃」が業務区分として追加され、対象事業者の範囲も拡大しました。また、鉄道分野では特定技能2号による受入れを行わないことが明記されたほか、育成就労評価試験による技能水準充足ルートも新設されています。本記事では改正内容を整理します。
目次
- 今回の改正の全体像
- 新業務区分「駅・車両清掃」が追加
- 特定技能2号による受入れは行われないことを明記
- 育成就労評価試験による技能水準充足ルートが新設
- 告示に「協議会の措置実施義務」が追加
- 技能実習2号からの移行要件が整理
- 新設「育成・キャリア形成プログラム」
- 事業者が今から確認すべきこと
- よくある質問(FAQ)
1.今回の改正の全体像
「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-鉄道分野の基準について-」とは、鉄道分野で特定技能外国人を受け入れる際の詳細なルールを定めた文書です。
令和8年8月28日、この運用要領が改正されました。令和8年1月23日に閣議決定された新しい分野別運用方針(育成就労制度に係る方針も含む)を踏まえたもので、業務区分の追加や特定技能2号の取り扱いの明確化など、実務に直結する変更が含まれています。
2.新業務区分「駅・車両清掃」が追加
これまで鉄道分野の業務区分は、軌道整備・電気設備整備・車両整備・車両製造・運輸係員の5区分でした。
改正後は、これに「駅・車両清掃」が新たな業務区分として追加されます。
対象業務は、車両内部清掃(折り返し清掃を含む)、車両外部清掃、コンコース清掃・駅舎清掃、ホーム清掃(駅務機器・エレベータ・エスカレータの清掃を含む)、休憩室清掃(駅員・乗務員用等)などです。
あわせて「鉄道分野特定技能1号評価試験(駅・車両清掃)」という新しい評価試験も設けられました。
さらに、特定技能雇用契約の相手方となる事業者の要件を定める告示にも変更があり、これまで「鉄道事業又は軌道事業の用に供する施設若しくは車両の整備又は車両の製造に係る事業を営む者」に限られていた対象事業者の範囲に、「駅若しくは車両の清掃に係る事業を営む者」が新たに加わりました。
これにより、駅や車両の清掃業務を専門に行う事業者も、鉄道分野の特定技能外国人を受け入れられるようになります。
3.特定技能2号による受入れは行われないことを明記
改正後の運用要領には、新たに「【2号特定技能外国人の技能水準及び日本語能力水準】鉄道分野においては、特定技能2号での受入れを行うことはできません。」という一文が明記されました。
あわせて、上陸許可基準を定める告示第1条からも、特定技能2号に関する条文(特定技能の項の下欄第2号に掲げる活動に関する規定)が削除されています。
鉄道分野で長期的なキャリアパスを検討する際は、現時点で2号への移行が制度上想定されていない点を踏まえておく必要があります。
4.育成就労評価試験による技能水準充足ルートが新設
鉄道分野の特定技能1号の技能水準要件について、これまでは分野別運用方針が定める試験区分(別表の技能水準の欄に掲げる試験)に合格することが要件とされていました。
改正後は、これに加えて「育成就労評価試験(育成就労終了まで)」に合格することでも技能水準を満たせる、という新しいルートが設けられました。
令和9年4月から始まる育成就労制度からの移行を見据えた整備といえます。
5.告示に「協議会の措置実施義務」が追加
告示第2条(特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係る基準)に、新たに「協議会において協議が調った事項に関する措置を講ずること」という義務が明記されました。
これまでは「協議会に対し、必要な協力を行うこと」という協力義務のみが定められていましたが、改正後は、協議会で合意した具体的な措置を実際に講じることも明確な要件として位置づけられています。
6.技能実習2号からの移行要件が整理
他の分野と同様、技能実習2号で修得した技能と、特定技能1号で従事しようとする業務の技能に関連性が認められる場合、令和9年4月1日以降も当分の間、必要な技能水準・日本語能力の証明は不要とされます。
ただし、運輸係員の業務区分については、従来どおり日本語能力試験N3以上(CEFRのB1相当以上)の合格が別途必要とされている点は変わりません。
7.新設「育成・キャリア形成プログラム」
今回の改正では、新たに「育成・キャリア形成プログラム」という章が設けられました。
国土交通省が関係業界等と協働して、育成就労及び特定技能1号を通じた鉄道分野の育成プログラムを策定するというもので、特定技能外国人又は育成就労外国人が自身のキャリアを俯瞰し、技能等の向上・育成を予見できるようにする指針として、国土交通省のホームページで公表される見込みです(鉄道分野には特定技能2号がないため、対象は特定技能1号と育成就労のみです)。
8.事業者が今から確認すべきこと
- 自社が駅・車両清掃業務を行っている場合、新たに受入れ対象となるか確認する
- 駅・車両清掃業務区分での受入れを検討する場合、対応する評価試験の実施スケジュールを確認する
- 特定技能2号への移行は現時点で想定されていないことを踏まえ、長期的な人材活用計画を検討する
- 協議会で合意した措置を実際に講じられる体制を整えておく
- 運輸係員の業務区分は引き続きN3以上の日本語能力が必要である点を確認する
9.よくある質問(FAQ)
Q.鉄道分野で特定技能2号に移行することはできますか?
A.できません。改正後の運用要領で、鉄道分野では特定技能2号での受入れを行わないことが明記されました。
Q.駅の清掃業務を行っている事業者も鉄道分野の特定技能外国人を受け入れられますか?
A.改正により、駅若しくは車両の清掃に係る事業を営む者も対象事業者に追加されたため、他の要件を満たせば受入れが可能になりました。
Q.育成就労を修了すれば、鉄道分野の特定技能1号の技能水準を満たしたことになりますか?
A.はい。改正後は、育成就労評価試験(育成就労終了まで)に合格することでも、技能水準の要件を満たすことができます。
まとめ
- 令和8年8月28日、鉄道分野の運用要領が改正された
- 新たに「駅・車両清掃」が業務区分として追加され、対象事業者の範囲も拡大した
- 鉄道分野では特定技能2号による受入れを行わないことが明記された
- 育成就労評価試験による技能水準充足ルートが新設された
- 告示に「協議会で合意した措置を講じる義務」が追加された
- 技能実習2号からの移行要件が整理された(運輸係員は引き続きN3以上が必要)
自社が新業務区分の対象になるか、特定技能2号がない前提でのキャリアパス設計について不安がある場合は、ぜひ一度、行政書士などの専門家にご相談ください。
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最終更新日:2026年8月28日
